11人が本棚に入れています
本棚に追加
なおみ
「ふふふっ、久志お兄ちゃんって、ロマンチックな事言うのね」
久志
「そうか?」
なんて、話してるうちに弥生公園の前まで来た。
なおみ
「あっ、もうここでいい。ありがとう」
久志
「ああ。これからは孝行は要注意人物だから、学校でも気をつけるんだよ」
なおみ
「うん。ありがとう」
久志はなおみに手を振りながら帰って行った。
家に着くと、母親の勢津子が困った顔をして、久志の事を待っていた。
久志
「ただいま。どうしたの?母さん」
勢津子
「あっ、久志。孝行の事なんだけど…。純ちゃんに言った方がいいかしらねぇ」
久志
「そうだなぁ、何もなかったんなら言わなくてもいいと思うけど…。今日の場合は一応言った方がいいかもしれないな。なおみちゃんも言うかもしれないけど、こっちが加害者だからなぁ」
勢津子
「じゃぁ、電話しておくわ」
勢津子は純二のアパートに電話した。しかし、今日は出勤のため、純二はアパートにいなかった。
勢津子は港署に電話した。電話には西田が対応し、挨拶を交わしあった後、純二と代わって孝行のしたことを話した。
純二
「なんだってー!!」
純二の驚いた声に、一係の人達は一斉に純二の方を見た。
純二
「それで、なおみちゃんは…?」
勢津子
「大丈夫よ」
純二
「孝行のやつぅ」
勢津子
「ごめんなさいね、純ちゃん。私たちがそばにいながら…。それにあなたたちが付き合ってるなんて知らなくて…」
純二
「いいよ、叔母さん。今孝行いる?いたら代わってほしいんだけど」
勢津子
「ちょっと待ってね」
勢津子は孝行を呼び、純二に謝るように促し、受話器を渡した。
勢津子
「いい?ちゃんと謝るのよ」
孝行
「何で謝らなきゃいけないんだよ。たかがキスくらいで」
勢津子
「とにかく謝りなさい」
電話の向こうでの会話が、純二の所にも届いていた。
孝行
「…もしもし」
純二
「孝行!お前、なんて事したんだ」
孝行
「…」
純二
「おい、聞いてるのか!?」
孝行
「聞いてるよ。俺だってなおみのことが好きなんだ。抱きしめたいんだ。キスしたいんだよ。純二さんだけって卑怯だよ」
純二
「なおみちゃんはよそ様のお嬢さんなんだぞ。お前の汚い手で汚されてたまるか!」
最初のコメントを投稿しよう!