第2章 試練

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孝行 「純二さんだったら汚してもいいのかよ!」 純二 「そんな事言ってないだろう。俺だって、お前と同じように思ってるさ。でも俺にとってなおみちゃんは、大事にしたい、大切な人なんだ。だから、俺はそう簡単には汚したくない」 孝行 「そんな事思っているのは、今のうちだけだよ。もっと関係が深くなれば、抱きたいって思うようになるさ」 純二 「お前、この間言ったよな。なおみちゃんに振られた方が手を引くって」 孝行 「ああ」 純二 「約束は守ってもらう。今後、なおみちゃんには手を出すな。わかったな。それが守れるんなら今回の事は許してやるよ」 純二は力強く電話を切った。切った後もまだ興奮している。 一係のみんなが心配して、純二に駆け寄った。 西田 「竹本、どうしたんだ?なおみちゃんがどうかしたのか?それになおみちゃんには手を出すなって?」 純二 「…俺、昨日のドライブの時、告白したんです。交際も署長に許可もらって、なおみちゃんと付き合えるようになったんです」 西田 「そうか、とうとう。俺としては残念だけど、なおみちゃんが幸せになるんならお前に任せる」 純二 「西田さん…」 塚本 「でもなんで孝行くんと喧嘩になるんだ?」 純二はまた怒りが込み上げてきた。 純二 「…あいつ、なおみちゃんを襲ったんですよ、今日」 みんな 「ええー?」 純二 「だから注意しただけです。なおみちゃんはもう俺の彼女ですから」 その夜、純二はなおみの事が心配で電話をかけた。 良子 「はい、北原でございます」 純二 「竹本です。昨日はお邪魔しました」 良子 「いえいえ、なおみね、ちょっと待ってね」 なおみの部屋の電話が鳴った。 なおみ 「はい」 純二 「あ、俺」 なおみ 「あっ、こんばんは。どうしたの?」 なおみは意外に元気そうだった。 純二 「今ね、仕事から帰ってきたところなんだ。今日は会ってないから声が聞きたくなって…」 なおみ 「ご苦労様。今日は事件なかったの?」 純二 「ああ。…なぁ、なおみちゃん、今日…」 なおみ 「え?なぁに?」 純二 「…いや、なんでもない」 純二は、孝行のことを話そうとしたが、話すことでなおみがまた嫌な思いをして、傷つけてしまうのではないかと思い、なにも話せなかった。
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