第2章 試練

9/132
前へ
/132ページ
次へ
なおみ 「…はい」 なおみが教室に戻った。廊下を歩いているうちも、知らない生徒がなおみの方を見ながら噂している。 しかし、なおみはやましいことはしてないと、自信を持って堂々と歩いて行った。 教室に入ると、こずえが心配そうに駆け寄ってきた。 こずえ 「あっ、なおみ、先生なんて?」 なおみ 「…噂が収まるまで竹本さんと会うなって」 こずえ 「えーっ!かわいそう」 孝行 「先生、あの年で独身だからなぁ。ひがんでるんだよ」 こずえ 「それで、先生の言うこと聞くの?」 なおみ 「テストの結果次第では親に言うって…。親に知れたら竹本さんと付き合えなくなるかも…」 こずえ 「ひどーい」 孝行 「だから言っただろう。純二さんは諦めろって。今からでも遅くない。純二さんと別れて、俺と付き合えよ」 こずえ 「別れろって、なおみ、竹本さんと付き合ってるの?」 なおみ 「うん。一昨日告白された」 こずえ 「やっぱり言った通りだったでしょ。両思いになってよかったね…ってこともないか。それでこれからどうするの?」 なおみ 「竹本さんと相談する」 夜、なおみは今日のことを純二に話そうと思って電話をかけた。 純二 「はい、竹本です」 なおみ 「…なおみです」 純二 「なおみちゃんか、どうしたんだ?」 なおみ 「…大事な話しがあるの。今からこっちに来れないかなぁ」 純二 「いいよ。じゃぁ今から出るから」 なおみ 「うん。待ってます」 純二は、電話を切ったあとしばらく考えて、なおみに何かあったのではないかと思い、心配になって急いで出掛けた。 純二 「こんばんは」 良子 「はい。あら、竹本さん。なおみがまたわがまま言ったのね。ごめんなさいね」 純二 「いえ、なんか大事な話しがあるって言われて…。ちょっとお邪魔します」 純二はなおみの部屋へ急いだ。 なおみの部屋の前に立ち、ノックする。 純二 「なおみちゃん、入るよ」 なおみ 「竹本さん…」 なおみは泣きながら純二の名前を呼んだ。 純二 「どうしたんだ、何があったんだ」 いきなり純二にしがみついた。純二もなおみを落ち着かせるために、しばらくの間なおみを抱きしめた。 なおみ 「…忙しいのにごめんね。びっくりしたでしょ」
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加