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なおみ
「…はい」
なおみが教室に戻った。廊下を歩いているうちも、知らない生徒がなおみの方を見ながら噂している。
しかし、なおみはやましいことはしてないと、自信を持って堂々と歩いて行った。
教室に入ると、こずえが心配そうに駆け寄ってきた。
こずえ
「あっ、なおみ、先生なんて?」
なおみ
「…噂が収まるまで竹本さんと会うなって」
こずえ
「えーっ!かわいそう」
孝行
「先生、あの年で独身だからなぁ。ひがんでるんだよ」
こずえ
「それで、先生の言うこと聞くの?」
なおみ
「テストの結果次第では親に言うって…。親に知れたら竹本さんと付き合えなくなるかも…」
こずえ
「ひどーい」
孝行
「だから言っただろう。純二さんは諦めろって。今からでも遅くない。純二さんと別れて、俺と付き合えよ」
こずえ
「別れろって、なおみ、竹本さんと付き合ってるの?」
なおみ
「うん。一昨日告白された」
こずえ
「やっぱり言った通りだったでしょ。両思いになってよかったね…ってこともないか。それでこれからどうするの?」
なおみ
「竹本さんと相談する」
夜、なおみは今日のことを純二に話そうと思って電話をかけた。
純二
「はい、竹本です」
なおみ
「…なおみです」
純二
「なおみちゃんか、どうしたんだ?」
なおみ
「…大事な話しがあるの。今からこっちに来れないかなぁ」
純二
「いいよ。じゃぁ今から出るから」
なおみ
「うん。待ってます」
純二は、電話を切ったあとしばらく考えて、なおみに何かあったのではないかと思い、心配になって急いで出掛けた。
純二
「こんばんは」
良子
「はい。あら、竹本さん。なおみがまたわがまま言ったのね。ごめんなさいね」
純二
「いえ、なんか大事な話しがあるって言われて…。ちょっとお邪魔します」
純二はなおみの部屋へ急いだ。
なおみの部屋の前に立ち、ノックする。
純二
「なおみちゃん、入るよ」
なおみ
「竹本さん…」
なおみは泣きながら純二の名前を呼んだ。
純二
「どうしたんだ、何があったんだ」
いきなり純二にしがみついた。純二もなおみを落ち着かせるために、しばらくの間なおみを抱きしめた。
なおみ
「…忙しいのにごめんね。びっくりしたでしょ」
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