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「お前何遅く来てんだよ」
「何で悠生くんもういるわけ?」
お互いの第一声ははにかみながらの「おはよう」ではなく、驚きの声だった。
なぜかもう席についている悠生くんを見てあたしはただ驚いた。
「悠生くんと同じバス乗りたいなって思って一本遅らせたんだけど?もしかして早いので来たの?」
「お前と考えてること同じ。あー何か失敗したって感じだけど、ちょっと嬉しいかも」
悠生くんがあたしと同じバスに乗ろうとしてくれたんだ。嬉しいのはあたしも同じ。
「今日の昼飯部室で食うべ?」
「部室?」
「野球部の。ストーブあるし」
「うん」
授業中はずっと友達に何て言うか考えていた。好きかもしれないから付き合うことにしたっていうのは何か違う。悠生くんと付き合うことになったのはすごく嬉しかったから皆に報告したかったけど、皆のビックリした顔が浮かんで困ってしまう。
授業中にペンで悠生くんを突いたり、突かれたりして遊んでいたから、結局あたしが言う前にバレてしまった。
昼休みが始まってすぐに友達に腕を引かれ、1階の人が少ないトイレに連れ込まれた。
「千紗、どういうこと?桂浜くんと仲良かったっけ?」
「うーん。皆知らないかもしれないけど講習の時とか結構話したりしてた」
「告られたの?付き合うってどんな感じ?」
「あたしから言ったの。まだ付き合うとかよくわかんないかも」
基本あたしの友達はおっとりしてる子が多いから、誰かが付き合うとかいう話題は今までなかった。でもそこまで質問責めにされるわけでもなく、今日の昼ご飯は一緒に食べないことを皆ニヤニヤしながら了解してくれた。
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