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「大石。俺、明日アメリカに行くね。」
コンテナの上であいつに言った。
まるで全てわかってたように、あいつは落ち着いていた。
『行っておいで』
ただ一言言葉が返ってきた。
そう、俺は同性の男に恋してる。
中学で出会って、テニス部でダブルスを組んで。
一緒に全国ダブルスNo.1になった。
誰よりも近くにいて、そしてあまりにも遠すぎた人。
大石秀一郎。
叶う筈がないと、思ってた。
この恋に幸せはないと思ってた。
なのに、大石は受け止めてくれた。
『英二が好きだよ』
優しい腕で抱き締めてくれた。
俺は…。
俺はね、大石。
きっと怖かったんだ。
叶うはずのない恋が実ってしまったから。
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