初めましてお嬢様。

5/6
前へ
/170ページ
次へ
  電車で帰る私を、彼は見送ってくれた。   髪も化粧もボロボロ。   朝日がみすぼらしい私を嘲笑う。   でもそんな事、どうでも良かった。   私は初めて攻撃に出た。   まさにピンチに立って初めて剣を抜いた勇者Lv1。   攻撃が通用しなくても良いのさ!   剣を抜いた事で冒険が始まるって所に意義があるんじゃないか。   「あ‥アドレス教‥えて下さい‥」   決まったかどうかは知らない。   でも確実に私の冒険は始まった!   彼はあっさりアドレスを教えてくれた。     舞い上がる私をよそに、彼は最後まで冷静だった。   小学生をあやす教師のような笑みで、私を見ていた。   年上の余裕に、トキメキまくりだった。   「また会いましょう」   はめていた手袋をわざわざ外し、握手をしてくれた。   彼の手に触れた興奮は、今でも忘れない。     電車に乗ってすぐ、私は彼にMailをした。   とにかく早く次の約束が欲しかった。  
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

441人が本棚に入れています
本棚に追加