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『雷矢!!』
『随分イライラしているな?生理か?』
その声に、膨らませた頬をより大きくした万里の顔に、俺の頬は自然と緩んでいく…
『もう!!
僕は怒ってるんだよ!!』
なるべく出さずにいようとしたのに、俺の細やかな反応に気付いた万里は、
『もういい!』
と言ってソッポを向いてしまった。
淋しそうに目を伏せ、俯き加減になると…
『嘘だよ!怒ってないよ!』
と焦った様子で俺の元に駆け寄る万里。
こんな些細な日常が、俺にとって何より幸せで…
いつまでも、あり続けるものだと信じていた…
大好きだから。
大切だから。
万里を困らせるだけでしかない、俺の気持ちは。
伝えるつもりなんて…
微塵もなかった。
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