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『じゃあ、行ってくるからね?
万ちゃんのお母さんたちの言うこと…よく聞くのよ?』
慌ただしそうに出かけて行く母親の後ろ姿が大嫌いだった。
海外赴任の父親に。
世界中を飛び回る母親。
『雷矢は自由でいいじゃん!
親なんて、あーしろ、こーしろ、煩いだけだぜ?』
誰もが、そう言った。
皆、知らないんだ。
自由と孤独が隣合わせだなんて…
夜、暗くなった部屋で過ごす時間が…
どれほど長く苦痛なものかだなんて…
泣きたいのに…
引き止めたいのに…
『いってらっしゃい』
と笑顔で物分かりのいい自分を演じるようになったのは…
いつからだろうか…?
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