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変わらない現実。
慣れてゆく自分。
それでも…
孤独の闇に吸い込まれそうになり、恐怖と不安で泣き出したい夜なんて。
数え切れないくらいにあった。
自分が壊れてしまうんじゃないかと思う時…
いつも助けてくれるヒーローがいた。
コンコン
『玄関から回って来いよ…』
『だって、こっちのが早いじゃん!』
器用にベランダを伝い、真っ暗な部屋に明かりを灯してくれる人物…
それが万里だった。
『あれ?また絵ハガキ増えてる?』
『この前も同じ事言ってた』
『あれ?おじさん帰って来たっけ?』
『いや。送られて来た』
『そっか…』
クッションに顔を埋め、自分の事のように哀しげな顔をした万里の頭を勢いよく撫でた。
『何するんだよ!』
くしゃくしゃになった髪を手櫛で整える万里の顔が、遠い昔を蘇らせた…
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