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それは、すぐにやってきた。
父親の匂いのするベッドで。
両親が帰って来た時にするように、照れくさい気持ちを隠しながら父と二人。
眠りにつこうとしていた。
『……』
電気を消した途端。
何かが足りない気がした。
そんな事。
考えなくても分かっている。
万里がいないんだ…
窓の外を見ても、見慣れない景色。
開けておく必要のないベランダ。
知らぬ間に持ち込まれていた、万里専用のクッション。
当たり前過ぎた生活。
当たり前過ぎた万里の存在。
父親と暮らせる事は嬉しいはずなのに…
それ以上の物足りなさがあった。
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