第1幕 【崩壊への晩餐】

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第1幕 【崩壊への晩餐】

ある春の夜。冷たい雨の降る日だった。その日はミール姫の17歳の誕生日。盛大なパーティーがホールで催されていた。 「え~っと。」 ミール姫は、自分の部屋でパーティーに出る衣装を選んでいた。 「これかしら?」 手にとったのは真紅の薔薇が付いた黒いドレス。 「うん。これにしよう♪」 ドレスを着て鏡の前で回って決断する、ミール姫。 「コンコン。」 「はい。どうぞ。」 入って来たのは母、アーベリアン。 「ミール。もう準備できた?」 「はい。お母様。」 アーベリアンもまた、美しい衣装を身に纏っている。 「じゃあ、下で待ってるわね。」 「はい。すぐ参りますわ、お母様。」 そう言と部屋から出ていく、アーベリアン。 「さてと、あとは……。」 ミールが振り向くと……。 「うふふっ。可愛いね。」 「!?」 其処にいたのは見知らぬ少女。 「あ……貴方…誰?」 「ふふふっ♪アリス。」 少女は不気味に笑い、ミールの目をじっと見つめる。 「(迷いこんだのかしら?)ア…アリスちゃんね。お父様とお母様が心配してるわ。一緒に降りましょう?」 ミールは、アリスと名乗る少女に視点を合わせるように身を縮める。 「貴方は幸せ?」 「え……!?えぇ、幸せよ。」 唐突な質問に驚くも率直に答える。 「本当に幸せかしら?」 「ど…どうして?」 「だって貴方は……」 アリスはミールの頬にそっと触れる。
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