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「不完全ナンダモノ。」
その手は血で真っ赤に染まっていた。
「………え?」
言葉の意味も状況も解らずただ困惑する、ミール。
「コンコン。」
「だ…誰!?」
「?母ですよ。どうしたのですか、ミール?」
「お…お母様!!」
必死になってドアを開け、母にしがみつく。
「あらあら。どうしたの?そんなに慌てて。」
「其処の女の仔が!!」
「女の仔?何を言っているの。そんな仔どこにも……」
「え?」
後ろを振り向くと其処に少女はいなかった。
「大丈夫?皆様お待ちしているから早く降りてきて頂戴。」
そう言うと部屋から出ていく、アーベリアン。
「…………。」
ただ呆然とする、ミール。
「夢……だったの?」
頬には血の跡もなかった。ただ………。
「此れは…………。」
黒い薔薇の指輪がぽつんと黒い光を放っていた。
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