第1幕 【崩壊への晩餐】

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「不完全ナンダモノ。」 その手は血で真っ赤に染まっていた。 「………え?」 言葉の意味も状況も解らずただ困惑する、ミール。 「コンコン。」 「だ…誰!?」 「?母ですよ。どうしたのですか、ミール?」 「お…お母様!!」 必死になってドアを開け、母にしがみつく。 「あらあら。どうしたの?そんなに慌てて。」 「其処の女の仔が!!」 「女の仔?何を言っているの。そんな仔どこにも……」 「え?」 後ろを振り向くと其処に少女はいなかった。 「大丈夫?皆様お待ちしているから早く降りてきて頂戴。」 そう言うと部屋から出ていく、アーベリアン。 「…………。」 ただ呆然とする、ミール。 「夢……だったの?」 頬には血の跡もなかった。ただ………。 「此れは…………。」 黒い薔薇の指輪がぽつんと黒い光を放っていた。
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