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「あ、の……」
目の前で俯きつつ、体の前で掌を交互に組み、何か言おうとする度もじもじと体を動かす。
その動きも、その声も、目の前でうじうじとしている彼女のことなんて、興味がなかった。
「わ、たし…」
次になんて言われるかなんて、分からない。
分かる人間は凄いと、思ってしまう。
ただの予想ですら、自分には絶対にできない。
ここが誰もいない空き教室で、ここには目の前にいる彼女と自分が1人だけで、廊下には人の気配も、声も聞こえない、周りから遮断されたような空間。
そうだとしても、今思っていることはただ寝たい、ということだけだ。
「…私、好きなんです…!」
「………」
ふぁ、と欠伸が出そうになり、口を手で覆おうとして腕を上げて顎辺りまで手を移動させた途端、叫ぶような声がキーンと、耳に部屋に響き、動きが止まった。
叫んだ彼女はというと、頬を赤く染め、俯き拳を顔の前で握って力んでいるように見える。
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