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その姿を見て、動きが止まった"暁"は顎に持っていこうとした手を急遽方向変換し、頭の後ろを掻いた。
静まり返っている教室の中で暁は「ふーん…」と呟く。
その声が暁の前にいる女生徒の肩がビクッと揺れる。
その反応に気付いたのか、気付いていないのか、暁は頭を掻いていた手をそのままにその手で頭の後ろを押さえ、目線を床から未だに顔を紅くしている彼女へと移す。
「……あのさ」
「…………」
「そんな顔してたら俺がイジメてるみたいじゃん」
「あ、う…ん…ごめん…」
羞恥から来ているのか、緊張を解かそうとしている暁の冗談混じりの言葉がありながらも彼女はまだ言葉がどもっている。
無意識に暁は「はぁ…」とため息をつく。
その吐息で、またも彼女の体が揺らぐ。
流石に自分の息遣い1つ1つで、目の前で震えている女生徒が反応していることに気付いたのか、暁は息を止め、頭を押さえていた手を下ろして、突然真剣な眼差しを見せる。
「―――…」
「……なぁアンタさぁ」
ゴクリと、小さく喉が上下した。
「………――誰?」
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