プロローグ

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切りたくて切るんじゃない。冷静になれば、もう二度と自分を自分で傷つけたくないと思う。 でも… 心の方がもっと痛いから、いくら自分を傷つけても痛みを感じない。流れる血を見て、生きてる実感とともに、痛い心をごまかせる。涙が流れるうちはまだいいょ…。涙ももう出ないから変わりに自分で血を流すんだ。誰にも見られたくない傷をそうしてまたひとつ増やしていく。。。 止めたくても止められない自傷行為の無限ループの入り口…。 このまま寝て、二度と目が覚めなければいいのに。って何回願って眠りについただろう…。 でも、新しい日はやってくる。昨日は感じることのなかった、腕の傷の痛みとともに…。そして実感するんだ。また自分で自分を傷つけたことに。 誰にも見られないように、包帯の上にリストバンドをつける。スポーツもしない私の必須アイテム。悲しいリストバンド…。 人は上を見ては憧れ妬むけれど、今自分がおかれている状況が恵まれていることには、なかなか気付かない。気付こうともしない。恵まれていると心から実感してないからだ。 長い人生のうち、何回出口の見えないトンネルに出会うだろう。周りに刺激され、影響され、支えられ、でも結局最後は自分で出口を見つけて辿り着く。そのトンネルの外には、トンネルの中では見えなかったたくさんのことが見えてきて、またひとつ成長するんだね。人生ってひょっとしたら、それの繰り返しなのかもしれない…。 約束された幸せや安定なんてないのだから。。。
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