幼き日々

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保育園に入った頃には、いつも自分が一番じゃないと嫌だった。 自分がリーダーで、周りがついてくる。そんな感じが出来上がっていっていた。男の子にだって負けたくないから、男、女関係なしに喧嘩だってした。 だから、いつも目立っていた。それは小学校に入っても中学校に入っても変わらなかった。むしろ目立っていたのは激しくなっていった。中学にもなると先輩にもよく目をつけられた。同じ学校出身の姉や弟と、本当に兄弟か?と驚かれるくらいだった。 中学に入ってからできた仲良しグループで溜まっては悪さばかりしていた。授業なんてあまり出ず、学校の近くの公園でよく溜まってはグダグダ言いながらたばこを吸っていた。 仲間には、母子家庭の子や父子家庭の子、複雑な家庭環境の子も多かった。 違う小学校が一緒になる中学でできた仲良しグループはけっこうな人数だった。みんなに共通していたのは、どこにもぶつけられない淋しさ、大人に構ってもらいたい、心配してほしいという気持ちだった。 いくらイキがってもまだ中学生。大人の愛情を感じたい、愛情が欲しい頃。口ではウザイと口癖のように親や先生のことを言っていたけれど、特に、ユナの通っていた中学校の先生は、優等生より、デキの悪い生徒達を諦めずに、心配し、話し合いし、とても可愛がってくれたと思う。みんなそれがうれしかったんだ。口には決して出さなかったけれど。細かいことはいろいろ違うにしても、淋しさをバカやって誤魔化せる仲間に、バカやってれば心配して、怒ってくれて、構ってくれる先生達。なんだか自分達の居場所のような気がしていた。 もちろん、ユナの両親は姉と180度違うユナに対して怒りまくりだった。学校からの呼び出し、はたまた先生が家庭訪問に来たり、教師から電話がかかってきたり、姉の時では考えられなかったんだろう。それでも両親が怒っている時はユナのことを考えている時間だから、わざと手をかけたのかもしれない。気を引きたかったのかもしれない。 でも、勉強は隠れてしていた。バカやってて、本当にバカだったら嫌だという変なプライドで。でも、勉強してるのをまわりに知られるのはカッコ悪いと思い、隠れてしていた。おかげで、テストの成績だけは良かった。高校も内申書は悪く、推薦なんてもちろん無理だが、一般の筆記試験でどこでも行けると先生にも言われていた。
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