崩れ去った縁、戻らない過去

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後悔は何度しただろう。何故私は黎人にあんな事を言ってしまったのか。 「早紀?どうしたこんなところで。」 「仁。」 「と、聞かなくても分かるな。黎人の事だろう?」 公園のベンチに腰を掛けていたら、通り掛かったのか、仁が居て私の隣に腰掛けた。 「仁、私はどうしたら良いの?」 「黎人との関係を修復するためには・・・か?」 頭の回転が早い仁に心の中で感謝して私は頷く。 「まず、謝ってみたらどうだ?自分が悪いことしたと自覚してるんだろう?」 「・・・残念だが、そういうこともできそうもないな。」 「勝・・・也?」 目の前の光景が一瞬信じられなかった。あの時から疎遠になりがちだった勝也が立っていたから。 「黎人はお前とした約束を頑なに守ろうとしてる。謝ったところで無視されるのがオチだと俺は思うがな。」 「どうしてそこまでするんだ?」 つい、と眼鏡の位置を戻しながら仁が聞く。 「・・・早紀に絶交に近い事を言い渡されたんだ。そりゃ誰だって絶望すんだろ。ましてや俺達は幼なじみだしな。」 「どうして俺達を助けてくれるんだ勝也。」 私もそれが分からなかった。あの事件のとき、私や仁は黎人の事を信じてあげることができなかった。それに対して周囲の評価を物ともしないで黎人と一緒にいた勝也と透。 そんな二人が私と仁を許すはずがないと思ってたから。だから勝也の行動を理解できなかった。 「戻りたいんだよ。」 「え?」 「幼なじみ五人、全員が一緒に笑顔でいた、あの頃の関係に。」 勝也と仁が口論になって、黎人と透が宥めても止まらなくて。そこをいつも私が力づくで止めていたっけ・・・・・・ 子供の頃の他愛のない一場面。でも今までで一番楽しかったな・・・・・・。 「勝也・・・僕は君を誤解していたみたいだ。」 「私も・・・ごめんなさい。」 「それ、俺じゃなくて黎人に言わねぇとな。」 ここまで来てやっと実感する。 五人で行動していた関係に戻りたいって・・・・・・。
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