交錯する気持ち、踏み出す勇気

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「ヤクザの息子だって?」 「ああ、西谷組の組長のな。」 淡々と箸を進ませる龍志。冗談を言っているようには見えない。まぁ、それならあの廊下での一件も説明がつく。 「ヤクザに絡まれたくないってことか。」 「ん?廊下でのことか?」 「ああ。ああやって避けられるの、嫌だと思わないのか?」 周囲から避けられ、忌避されているなんて、あの事件の俺みたいで、思ったときには聞いていた。 「こんな俺でも理解者はいたからな。嫌だとか、寂しいと思ったことはないな。」 「例えば?」 「幼なじみ・・・かな?」 「俺とか?」 すぐさま龍志が泰敬に突っ込み、泰敬がそれを笑う。 それにしても幼なじみか・・・・・・。俺も勝也と透がいたからここまで来れたのかも知れない。早紀や仁には信じて貰えなくてそれ以来疎遠になってしまったが。 「悩んでるのか?」 「ん?いいや。」 「話してみろよ。」 いいや、と言っているのに・・・龍志は中々侮れないと認識を改めないとな。 「去年の俺の事、知ってるか?」 「傷害事件騒ぎの奴か?それならほとんどの奴が知ってると思うぜ?」 「それがどうしたんだ?」 それから、俺は全て話した。その事件のとき、幼なじみの一人と絶交まがいの事を言われたこと。それに修復できないようにしたこと。 それで最近その幼なじみが話をしたがっていること。 そしてその対応に困っていること、その全てを。
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