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やはり来たか。その言葉を聞いた時、そう思った。俺と優奈では釣り合わないと言っているのだ。
「確証がなければならないものなんですか?」
「うん?どういう事だい?」
少なくとも、俺は優奈と一緒にいたいと思ってる。誰が何をしようと引き下がる事はしたくない。
「優奈を想う気持ちは、誰よりもあります。」
「・・・その意志を貫くんだね?」
はい。と自分の答えを言うと突然笑い始めた。
「ははは。参ったなこれは。」
「?どういう意味ですか?」
「学生の時の僕とそっくりだよ。相手の親に遠回しに別れろと言われたとき、僕もさっきと全く同じの答えを返したんだ。」
「そうですか。」
それがどうしたというのだろう。同じ問いに対し、同じ答えを返しただけ。偶然と斬り捨てるのも容易いのにそれをしないというのか。
「今日、一緒に食事でもどうだい?」
「え?」
「今夜とびきりの良い店を押さえておくから。どうかな?」
「そんな、急に言われても・・・」
正直迷った。だが、ある意味で受け入れて貰えたのでは?という期待もある。
少し逡巡した後、
「分かりました。・・・裕理さん。」
「・・・これからもそんな気軽さで話し合えるといいな。」
裕理さんはひとしきり笑って、俺に手を伸ばした。
俺はその手をしっかりと握り、握手を交わした。
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