16人が本棚に入れています
本棚に追加
それぞれ何品かとビールを頼み、先付けとビールがすぐに運ばれてきた。
『いただきま~す』
と声をあわせ、ビールを飲む。
『ちょっと肌寒くなって来たけど、やっぱりビールよね』
嬉しそうにそう言って箸に手を伸ばす。僕も『そうだね』と相槌を打ちながらもう一口ビールを飲む。
たまにキツイ事を言うけど、思いやりの裏返しなんだと気付いてから、彼女とは不思議とウマが合って愛だの恋だのとは別の…女友達っていう言葉が一番しっくりきた。
事実彼女には彼がいた時もあって、恋愛相談なんてのにものったりしたから、彼女も僕の事を男友達としか見ていないと思う。
彼女は運ばれてきた料理の半分とビールのジョッキのおかわりの半分を飲み干し、フゥと息をつくと僕の目を真っ直ぐ見据えた。
『イオくん…何か悩んでるでしょ?』
『な…』
僕はギクリとして、食べていた唐揚げを喉に詰まらせかけた。
慌ててビールで流し込み一息つくと
『隠したって解るのよ?今朝なんて特におかしかったし…何でも良いから話してみなさいよ?』
果たして話して良いものか…僕は考えあぐねていた。何だか秘密にしていた方が良いような気がするし…
黙りこくる僕を見て
『どんな話でも良いから…』
と、彼女は微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!