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『あの、さ…澪ちゃん輪廻転生ってどう思う?』
『輪廻転生って…あの、人や動物が死んだ後魂はまたいつか新しい命になって…っていうやつ?』
『うん。それ』
『私は…そうであったらいいなって思う。私じゃない私が私になる前、もしかしたらお姫様だったかもしれないし、生まれ変わった私が大恋愛の末大金持ちと結婚して、幸せに暮らすかも知れないじゃない?そしたら、今の平凡な私の人生は魂のひと休み期間かも知れないじゃない!それも悪くないかもって思えるし。』
一気にまくし立てた彼女はニッと笑うとビールをごくりと飲んだ。
『それにしてもイオくんが、ある意味ロマンチスト的な事を考えてたとはね。今までそんな事一度も言ったことなかったのに…』
覗き込むように見つめられ、しどろもどろになりながら僕は答えた。
『実はね、僕、最近とても大切な何かを忘れているような気がするんだよ。それが、僕が僕として産まれてからの事ではない気がするんだ。何なのか解らないけれど…』
『ふぅん…何だろうね?だけど何かを忘れているって気づいたって事は、いつか思い出すっていう可能性はあるわよね?う~んなんかロマンチックだなあ…過去の大恋愛の記憶?それとも財宝の隠し場所?財宝の隠し場所だったら私にも山分けね?』
そう言うとケラケラ笑った。
『そんな訳ないよ…もしそうなら必死で思い出すよ』
とつられて笑って言った。
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