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『ごめんね…すぐに思い出してあげられなくて…君は僕の事覚えていてくれたんだね…』
にゃあん
『ムーン…いや…月子…』
にゃあん…
『…月子?君の言葉が聞こえない…何で?』
ムーン…いや月子は目を閉じ頭をおろした。ちょっと苦しそうな呼吸をしている。
『やっぱり病院行かなきゃ…』
しかし時計を見ると深夜の3時を回っている…
『こんな時間じゃ動物病院も開いてないよね…でも…動物病院で良いのかな?姿は猫だし…だけど意識は人間?一体どうすれば…』
僕は一人でパニックになっていた。とりあえず抱きかかえ体を撫でる。月子に一体何が起きているのだろう?寝れば治るから…さっきは確かにそう言った。強がりじゃないの?やっぱり動物病院は都合が悪いのかな?
僕は結局何も出来ないままただ月子を抱えて座り込んでいた。空が白み始め朝が訪れる頃、一瞬眠りに引き込まれうとうとした。夢の中では月子が優しく微笑んでいた。
ああ…手に入れたくても決して入らなかった月子が…
僕は必死で手を伸ばした。月子は小さな声で
『心配かけてごめんなさい』
と言った。
『僕はどうすれば良いの?』
『月がまた満ちる頃…それまで待てなくて、人間の姿になる練習をしてしまったの…だから大丈夫だから…』
すまなそうに月子はうつむいたのだった。
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