surely

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『さあおいで…怖くないから…』 僕は静かに手を伸ばし、胡散臭そうに警戒しながら、けれど少し興味深げに離れた場所から真っ直ぐに見つめる猫に声をかける。 『ほら。食べ物持って来たんだよ。お腹空いてるんでしょ?』 ピクリとヒゲと耳を動かし、まるで言葉が判るみたいに反応する。 『僕さ、猫、大好きなんだ。だからお前も好きなの。仲良くなりたいの。わかる?』 僕はこの猫が、言葉が理解出来ると決めてかかって話しかけた。 猫は気のなさそうな顔をしながら、でも耳を向けて逃げようとはしない。 『ねぇ。君さ。僕の話す言葉が判ってるんでしょ?僕さイオって名前なの。君に名前付けても良いかなあ?そうだな…タマとかミーとかじゃありきたりだしね。』 提案したくせに、悩んでいる僕を横目に猫は顔を洗い、グルーミングを始める。 『雨になるのかな?だからってレインじゃおかしいよね?』 やっぱり猫は知らんぷり。 『うーん。あっそういえば、僕は君がオスかメスかも知らなかったんだ。君オス?』 知らんぷり。 『メス…なの?』 にゃあと小さく鳴く。 『うわあ。やっぱり君、僕の言葉が判ってるんだ。メスなんだね?』 面倒くさそうにもう一度にゃあと鳴く。 『何だか僕凄く嬉しくて、名前浮かばないよ。明日までに考えてまた来るからさ。これ。ご飯。ここに置いておくから食べてよ。』 にゃあ… わかったから早く行って…とでも言いたげにひと鳴き。僕は静かに食べ物を置くと、後退りながらその場所を後にした。
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