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『イオくん。飲みに行かない?』
一時間程の残業を終えて帰り支度をしていると、年は3つ下だけれど入社は一年早い為に僕の事を君付けで呼ぶ澪ちゃんに声を掛けられた。
澪ちゃんとは月に2~3度二人で飲みに行く仲で、それ以上の関係ではなかった。ムーンを家に連れて来てから全く飲みに行ってなかったから、女友達と飲みに行くのにも飽きたのか、僕に白羽の矢を向けたらしい。
『ムーン…いや、家の猫に餌をやらなくちゃいけないし…』
と、渋ると
『2~3時間遅くなっても居なくなったりはしないわよ。それにイオくん…ちょっと様子がおかしいわよ?少し気晴らしをした方がいいわよ?』
と、顔を覗き込んだ。
『そうかなあ…』
『そうよ!何に悩んでるか知らないけど、たまには外で飲まないと!』
確かにここのところずっとムーンとあの女の人の事ばかり考えてた…少しすっきりしたら気持ちが落ち着くかも知れない…
『わかった。お腹も減ったし飲んで帰るかなあ』
『よし。決まり!行こう。』
そして、僕らは行きつけの居酒屋に向かった。平日のせいかあまり混みあっていない店内は、ゆっくりするには慌ただしさもなくちょうど良かった。
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