第4話

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  「簡単なものしか作れなかったけど」  申し訳なさそうに言う虎狼に、大きくかぶりを振った。  これで…簡単って!  あたしだったらこれだけで精一杯だよ!  女の子より料理の上手な男の人って――。  憧れるけど、自分の好きな相手って思うと、ちょっと複雑。  「頂きます」って手を合わせて食べ始めれば、やっぱり凄ーく美味しくて。  料理、出来ないよりは――出来た方がいいな。  なぁんて、思いながら、美味しい料理に舌鼓を打った。 「月華は本当に美味しそうに食べるね」 「だって、本当に美味しいもん」  柔らかに笑いながら、言う彼に、軽く興奮しながら返答した。  そんな風に言われるって事は……よっぽど幸せそうに食べていたのかな。  食い意地が張ってるみたいで恥ずかしい――。  羞恥から料理に落とした視線を、そぉーっと戻すと、極上の微笑みがあたしに向けられていた。  ――かっこいい。  その笑顔…反則だよ…。  でも、そんな虎狼がやっぱり好き。 「え?」  驚いた顔で虎狼が聞き返す。  え――?今、あたし――何て?  咄嗟に口を手で覆う。  やばっ…  今の気持ち、声に出ちゃってた? *
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