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小姫はすくすくと育っていきました。
鵺はその成長を嬉しく思えるようになりました。
鵺と小姫は幸せでした。
ある春の日。
鵺と小姫はあの桜を見に来ていました。
「ぬえ、早く早く!」
「小姫、桜は逃げぬよ」
散り始めた桜に駆けていく姿に鵺は目許を和ませながらそういいました。
「だって、桜はすぐに散ってしまうわ」
「また次の年に花を咲かせるだろう」
諭すように鵺が言えば、小姫は頬を膨らませました。
「ずっと見ていたいです。ずっとずっと…そうすれば秋も冬も寂しくないです」
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