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「それ以上は言うてはならぬよ、小姫」
慈しむ瞳で鵺は見つめて指を放しました。
「わしは妖。主は人の子。この思いは禁忌だから…言うてはならぬ。それでも、小姫が許してくれるなら…」
腕を伸ばし、小さな身体を壊れ物を扱うかのように抱き締めました。
「側に居させてくれまいか?」
小姫は目を見開き、おずおずと大きな鵺の背に腕を回しました。
「何を…約束でしょう?ずっと、一緒だと…お約束しましたでしょう?」
小さな小指を絡めた遠い日の約束。
「…嗚呼…そうであった」
鵺は小姫を強く抱き締めました。
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