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約束は果たされ続けました。
鵺も小姫も片時と離れることもなく、仲睦まじく山で暮らしました。
何年も何年も…。
でも、人とはか弱き生き物。
妖は強き生き物。
二人を別つものは突然と訪れました。
鵺は知りませんでした。
人の病を治す術を。
「朧…」
「小姫や…死んではならぬ…」
痩せ細った小姫を腕のなかでしっかりと抱き締めながら、鵺は何もすることができずにいました。
「朧…ずっと一緒…だから」
「ああ…ずっと一緒だ…」
差し出した震える手を握り締めて鵺は答えました。
小姫は微笑み、息を引き取りました。
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