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鵺は幼子と共に暮らすようになりました。
幼子に名はありません。
だから、小さき姫…『小姫』と呼ぶようになりました。
「あなたの名前はないの?」
「あるさ…だがな、名は大切な物だから簡単には教えられぬ」
鵺の膝の上に座り、小姫は赤い頬を膨らませました。
「ならば、どうしたら教えてもらえますの?」
「そうだのぅ…小姫がわしの一番大切なものになったらかのぅ」
鵺は苦笑をもらしながら小姫の黒い髪を撫でました。
「なら小姫は頑張って一番になります」
小姫の真剣な瞳に鵺は声を立て笑いました。
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