第一話:カンユウ

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"郷に入っては郷に従え" …というが、なかなかそう上手くいくもんじゃない。 机に肘をついて、本日何度目かの溜め息をつく。 この町に来てもう1ヶ月。なのに僕は、未だにこの新しい環境に馴染めないでいた。 環境に、というより"人間"にかもしれない。 この闇戒町は、町をぐるりと囲うようにして山や森が存在している。町内も建物より田畑の方が多いくらいで、自然豊かなのは確かに良いことだけど、本当に何もない、田舎町だ。 人はそんな閉鎖的な環境下で暮らすほど、集団意識が強くなる。 高校入学式が終わって数ヶ月、そろそろ仲の良いグループが確定し始めたであろうその頃に、突如やってきた転校生。しかも都会からきた完全な余所者が、どう歓迎されるか当時は不安だったが… 結果は僕の想像の右斜め上をいっていた。
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