第一話:カンユウ

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当然、友達と呼べる者などできるわけがない。 この態度の悪さから、今ではもう自ら声をかけてくる奴はいなくなった。 実際に、この昼休みの最中、僕は一人携帯をいじっている。昼飯はもう食べた。もちろん一人で。 周りはいつもと変わらず仲の良い者同士が集まって、漫画でよく表現される"ワイワイ""ガヤガヤ"とかいう感じの、賑やかな音で溢れている。 ああ、次の授業の宿題、やっておかないと。 「…くん。…橋本君!」 「…!」 顔を上げると、ぱっちりとした菫色の瞳と目が合った。 「橋本君ほんとに携帯好きだねぇ。いつも何見てるの~?」 「…別にいいでしょ、何でも。」 「いいけどさぁ。あっまた下向いた!まだ話終わってないんですけどー!?」 …一人だけ、例外がいるのを忘れていた。 田村 慈 (たむら うつみ)。 彼女は変なところで根性があるらしい。
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