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それからの時間は驚くほど早く過ぎてしまって。
はっとした頃には、再び周りは騒がしく、もう皆、鞄を持って帰り支度を始めていた。
どうしよう。
何をするのか全く分からないし、今のうちに、黙って帰ってしまおうか。いや、ちゃんと断っておくべきか…。
静かに席を立ち、田村慈の席を見る。幸いまだこちらには気づいていない。
僕は周りの生徒に紛れるようにして、教室のドアに向かって歩き出す。
よし、どうやら逃げられ―――
「ばっくれダメ、ゼッタイ。」
「…………。」
腕を掴まれた。
「ううう何なの、何がそんなに嫌なの橋本君…!!」
「嫌っていうか、意味分かんないし。行くってどこ行くのさ!?」
一瞬、間が空く。
「色々だよ。あそこ怪しい!ってなれば、突撃するかんじ。」
ますます意味が分からない。
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