第一話:カンユウ

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それからの時間は驚くほど早く過ぎてしまって。 はっとした頃には、再び周りは騒がしく、もう皆、鞄を持って帰り支度を始めていた。 どうしよう。 何をするのか全く分からないし、今のうちに、黙って帰ってしまおうか。いや、ちゃんと断っておくべきか…。 静かに席を立ち、田村慈の席を見る。幸いまだこちらには気づいていない。 僕は周りの生徒に紛れるようにして、教室のドアに向かって歩き出す。 よし、どうやら逃げられ――― 「ばっくれダメ、ゼッタイ。」 「…………。」 腕を掴まれた。 「ううう何なの、何がそんなに嫌なの橋本君…!!」 「嫌っていうか、意味分かんないし。行くってどこ行くのさ!?」 一瞬、間が空く。 「色々だよ。あそこ怪しい!ってなれば、突撃するかんじ。」 ますます意味が分からない。
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