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「ふぅ…。あ、いた!」
草を薙ぎ払った先には闇カナブンや桃色カメムシ、よろめきバッタが目を丸くしていた…
『ぶ~ん!?オマエ、何をしてるんだぶ~ん!』
『た、祟りが起きるっぺ!逃げるっぺよんじゅん!!』
『腰がぁ…ひぃいぃ!』
千里を見るなり、虫会議に集っていた虫たちが一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げていった…
「ちょっと!どうしたの。」
『オマエ!今、来世草を刈ってきただろ!そんなことをしたら生肉花に食い殺されるんだぶ~ん!』
「生肉花って、何よ…。」
キシャアアァァ…
草むらから得体の知れない鳴き声が聞こえてきた…
『来たぶ~ん!ここはさっさと逃げるが勝ちだぶ──』
闇カナブンが飛んで逃げようとした瞬間…
バクッ!
闇カナブンが一瞬にして、花のような形をした肉の塊に足を喰われてしまった…
『あぁん!やっぱりやられた~!ボクちゃん、食べても美味しくないですぶ~ん!』
ムシャムシャ…
闇カナブンを貪り喰う真っ赤な肉の塊、これが生肉花だった…
キシャアアァァ!
生肉花は大きく口を開け、天高く鳴いた…すると草むらから次々と生肉花が集まってきた…
「あ、増えた。」
千里はあっという間に生肉花に囲まれてしまった…
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