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それから3年の間、少女は祖母と2人きりで過ごした。両親を亡くした少女を、祖母は不憫に思ったのだろう、少女を前にも増してかわいがってくれた。
少女は祖母の愛情に包まれて、成長していった。時々優しかった両親のことを思い出しては涙ぐむ日もあったが、自分には祖母がいるし、住む家だってある。
……だが、そのささやかな暮らしも長く続かなかった。
ある朝、祖母はベッドに寝たまま、起きてこなかったのだ。
身体の具合が悪いのかな、と少女は心配して、簡単な朝食を作り、祖母の所へ持って行った。
おばあちゃん、と声をかけて、祖母の身体に触れ、何かがおかしいことに気付いたのだ。
寝息は聞こえず、顔は血の気がなく、身体は冷たく硬くなっていた。
少女は泣きながら近くの村まで駆けて行き、助けを求めた。少女の話を聞いたその村の医師が、少女の家まで馬を走らせてくれた。
祖母は、眠るように死んでいた。
元々心臓が弱かったので発作が起きたのでしょう、と医師は言った。
祖母の亡きがらは、村の人に手伝ってもらい、裏の小さな森に埋めた。
身寄りのいない少女をどうするか、村の人達は話し合っていた。
子供のできない夫婦の養子にしてはどうだろうとか、村の皆で面倒をみようとか、こんな廃れた村にいるよりは、国の孤児院に預けたほうが良いだとか、色々話されていたがなかなかまとまらなかった。
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