少女

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 祖母が亡くなって3日の間、少女は泣き腫らした目でぼんやりと宙を見ていた。  村の人達が心配して訪ねてきてくれたが、両親に続き祖母まで亡くした少女は、死んだような目をして俯いたまま、誰とも口をきかなかった。  少女の家から村までは、2キロ程しか離れていなかったため、村人は交代で彼女の世話をしようとやって来た。  少女が普段の少女であったなら、彼女の家に訪れる者の中に、怪我をして包帯を巻いている者が数名いたことに気付いたかもしれない。  だが、少女の脳は考えることを停止していた。だから少女は、白い眩しいその包帯を、ぼんやりと見遣るだけだったのだ。
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