85人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
始め、世界は虚ろな暗闇で満たされていた。すべては沈黙し、時は止まっていた。
どのくらいの間、そうだったのかは分からない。何しろ時は止まっていたのだ。
ある時、高次元より、いくつもの『存在』がこの世界に降臨した。
いや、「ある時」という言い方は正しくない。何故なら、時は止まっていたのだから。
存在が世界に降り立った時、空間に亀裂が走った。その亀裂から、高次元空間のエネルギーのようなものが流れ込んだ。
それらは幾筋にも分かれ、渦を巻き、暗黒の世界に揺らぎを与え、動きを与えた。
そうして初めて、世界の時は流れ出した。
世界創造の、瞬間である。
最初のコメントを投稿しよう!