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高次元の存在達は、出来ることならば、この若い、動き出し始めたばかりであろう空間をずっと見ていたいと思った。
動き出した世界はエネルギーに満ちていた。まだ世界は暗闇だったが、時を得たことを喜び、エネルギーが縦横無尽に駆け巡り、高次元の存在達を心から歓迎していたのだ。
高次元の存在達は、自らが命を吹き込んだ、生まれたばかりのこの空間が、愛しくてたまらなくなった。
だが、高次元の存在は、この世界に長く留まることは出来ない。
自分達の次元とこの次元とでは、存在を形作る物質そのものが違うのだ。
高次元の存在達は、この世界に降り立った時、この次元に存在可能な物質で自分達を形作っていたが、その物質の寿命はどうやら限界に近付いていた。
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