序章~神話~

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 世界は若く、まだ悲しみを知らなかった。  存在達が去った後、一人ぼっちになることも、その意味もまだわからなかった。  存在達は、世界に約束した。この世界を、たくさんの存在で満たすことを。  そうすれば、世界は悲しくないだろうと考えたのだ。  高次元の存在達は、約束の証として、自らの一部を世界に与えた。 「約束しよう。この世界と私の命がある限り、私の一部はこの世界で輝き続けよう」 そうして、太陽ができた。 「約束しましょう。この命とその輝きがある限り、私の一部は輝きの周りを巡りましょう」 そうして、惑星ができた。 「約束を。輝きを巡るものの周りをさらに巡ろう」 そうして、月ができた。  世界は喜んだ。自分以外の存在が、さらに増えたことに喜んだ。  しかしやがて、自分を生んでくれた存在がいなくなっていることに気付いた。  世界は自身の内を、生んでくれた存在を探して激しく駆け巡った。その際、エネルギーや様々なものがぶつかり合い、星や星屑ができた。    あの存在達がどこにもいないと知った世界は、初めて悲しみを知った。  悲しみの咆哮は世界を揺らし、高次元の存在達にまで届いた。  高次元の存在達は、嘆く世界のために、一瞬だけ降臨した。そして、もうひとつ、世界に約束した。 「強く望むならば、私達はいつでも高次元より馳せ参じよう。短い時ではあるが、側にいよう」  世界は涙を流した。高次元の存在は、それを優しく受け止めた。  そうして、地球ができた。  もはや人々から忘れ去られた、世界創造の神話である。
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