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瓦礫の中で、動いているのは彼一人だった。
鉄骨やコンクリート、木の建物の中に、ちらほらと焼け焦げた人の死体であろう物が見える。
辺りを見渡すと、遥か彼方の城壁まで瓦礫と死体しかなかった。
竜。
これを成したのはただ1体の巨大な竜。
大都市をものの数分で焼け野原にした怪物と、彼は向き合っていた。
1本の片刃剣だけを手にし、赤髪の青年は呆れた風に独りごちた。
「……レベル2じゃなかったのかよ。これどう見てもレベル5だろ」
言い終わらない内に竜と目が合う。
これだけ破壊しつくしてなにが気に入らないのか、竜は青年に向かって、1つ、黒炎を吐いた。
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