病院嫌いの父

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私達が居た病院の中庭は、それほど寒くもなく、まだひなたぼっこしても良い感じだったけど、お父さんは私が心配らしかった。 後ろから眺めるお父さんの姿は、細く小さくて、歳を一気に取ったような感じだが、その背中にはいつものように一切の同情も心配も受け付けない、頑固な意志が張り付いていた。 お父さんが入院してから、毎日のようにお見舞いに来ているけど、お父さんはそれがなんだか嫌みたい。 「病院なんか、元気なやつが行っても病気にされるような場所だから」 お父さんの病院に行かない、決まり言い訳だった。
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