病院嫌いの父

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それが三ヶ月前から、お父さんは入院する事になった。 病名は末期の大腸癌。 病名も余命の宣告も、私は医者からではなく、お父さん本人の口から聞いた。 あまりの突然の事にショックで、口が聞けない私に、お父さんはなんでもない事のように笑って付け加えた。 「心配するな。母さんのところに行くだけだ。やっと……母さんに会える」 私がまだ幼い時に、お母さんは亡くなった。 風邪から肺炎になって、あっけなく……。 お母さんが居なくなってから、お父さんは男手一つで私を育ててくれた。
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