69人が本棚に入れています
本棚に追加
病室に戻ったお父さんは疲れたように、ベッドに腰掛けて、足を揉んだ。
「明日も仕事だろ? もう、いいよ」
「じゃあ、また明日ね」
「病院なんか、毎日来るな。風邪ひくぞ」
お父さんは皮肉っぽく笑った。
私は答えずに、笑顔だけを残し、手を振って病室を後にした。
お見舞いの帰り道は、いつもお父さんとの思い出を思い出す。
二人でずっと暮らしてたから、たくさんある。
でも、不思議な事に、普段なかなか思い出さないような、事ばかりだった。
たまに、自分でもよく覚えてたなぁ~ってぐらい小さな事も。
最初のコメントを投稿しよう!