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「雫紅……なかなか笑わないからな」
お父さんは愚痴でも言うように話した。
その時、私はお父さんがなぜ、小さないたずらをまだ続けているのか、本当の理由を始めて知った。
お父さんは私を笑わせてくれようとしていたんだ。
私は日に日に細くなっていくお父さんの姿を見たり、時折見せる痛そうな顔を見るのが辛かった。
毎日のようにお見舞いにくるのも、娘としての義務感が半分ぐらいあったと思う。
だから、お父さんのお見舞いに来た私は、きっとつまらなく、疲れた顔をしていたんだろう。
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