悪い冗談

7/8
前へ
/44ページ
次へ
「雫紅……なかなか笑わないからな」 お父さんは愚痴でも言うように話した。 その時、私はお父さんがなぜ、小さないたずらをまだ続けているのか、本当の理由を始めて知った。 お父さんは私を笑わせてくれようとしていたんだ。 私は日に日に細くなっていくお父さんの姿を見たり、時折見せる痛そうな顔を見るのが辛かった。 毎日のようにお見舞いにくるのも、娘としての義務感が半分ぐらいあったと思う。 だから、お父さんのお見舞いに来た私は、きっとつまらなく、疲れた顔をしていたんだろう。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加