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静かで何も聞こえない場面なのに、私は賢太郎の顔を見ながら、かすかに流れる音楽を聞いた。
それはお母さんが大好きで、お父さんが毎日のように聞かされていたという、エルトン・ジョンの歌だった。
きっと、いたずら好きなお父さんがどこかで流してくれているんだろう。
緊張で、怖くみえるような表情のまま賢太郎は、私のベールを持ちあげ、優しくキスをしてくれた。
なんだか可愛くて、可笑しくなった。
この瞬間に、私と賢太郎は夫婦となり、退出のために二人で、出口の方を向いた。
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