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「何やってんだ、あんたはっ!?」
『いや、使用人を呼ぶベルがあるのだから使うのは当然だろう?』
男の行動に敬太は思わず席を立ち、こめかみに青筋を浮かべながら男に向かって叫ぶ。
男はなんだよ、と言う顔をしながらも、さも当たり前の事のように答える。
「当然って・・・まあいい、あんたの演技は上手いもんだなっ」
男の反応に敬太は勘忍袋が切れそうだったが、それも全て演技だとすれば合点がいく。
そう思うと逆に余裕がでてきて、必死に異世界の国王を演じていると思われる男に嫌味を言いながら再び席に座る。それと同時に勢いで頼んだコーヒーを持った店員がやってくる。
「以上でよろしいでしょうか?」
『うむ、これは礼だ。遠慮せずに取っておくがいい』
マニュアルどおりの流れでコーヒーを置き、他に注文が無いか尋ねる店員に男はポケットの中から金色の棒を取り出して店員に渡す。
「は?」
「はい?」
それを見た敬太は思わず目を疑い、店員はそれを手にしたまま固まる。
見間違いで無ければ、それは紛れも無く金の延べ棒と呼ばれるものだった。
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