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少年が目を開けると、そこは一面パステル・グリーンの野原だった。
空はどこまでも澄んだ勿忘草色。
周囲は名も知らぬ、それでいてありふれた木々に囲まれている。
初夏の少し湿った風が、寝転がる少年の鼻先を、額を、撫でるように吹き抜け、同時に無数のクローバーの絨毯を揺らした。
微かに草の匂いのする涼やかな風だ。
少年はここがどこであるのか、どのようにしてここに辿り着いたのか、全く覚えていなかった。
唯一覚えているのは、大切な人に四つ葉のクローバーを渡す約束をした事だけである。
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