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「目を閉じて」
少女の白く小さな手が、少年の目を覆う。
光のない視界に、息さえしてはいけないような張り詰めた静寂が、二秒、三秒、流れる。
「開けて」
静かな声に従って、少年は目を開けた。
始め、彼は何が起きたのか理解出来なかった。
とにかく暗く、周りの風景はぼんやりとしてほとんど見えない。
目が慣れて来るにつれ、彼は段々と何が起こっているのか、その断片を知ることができた。
クローバーも、木々も、空も、自分と少女以外全ての物が、濃藍なのだ。
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