パステル・グリーン

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あんなに爽やかだった風は、夜の色の木々を強く、冷たく揺らす。 ざわざわという葉擦れの音も、今の少年には恐怖の対象でしかない。   ふと足元に目をやると、地面の闇は彼の足首までを飲み込んでいて、落下しているような浮遊感にぐらりとした。   思わず尻餅をついた少年に少女が接近し、   「そう――」   無表情な声とともに、少年の視界は再び奪われた。
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