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ランドもラージャも上級魔法が使える。
しかしランドはいつもマイナス思考が邪魔をして、発動する魔法は中級魔法で止まってしまうのだ。
「蜂須賀は技術や精神面なんかの問題じゃなくて魔力が0だからな~。いくら頑張っても無理じゃね?」
「言えてる~!」
「魔力がなけりゃいくら頑張っても無駄だもんな!」
クラスの誰かがそう言って竜牙を馬鹿にしだすと、周りもつられて竜牙を嗤いだした。
特例で入学してきた竜牙だ。入学当初からいろいろな輩に目を付けられてきた。
魔法が使えないだけでもこの批判の嵐。しかも──
「しかもこの野郎『剣』だけはやたら上手いしよぉ~!」
そう、竜牙は魔法を使えない。
だからそれを補う為に竜牙は『剣』を選んだ。
血の滲むほど剣の修練をし、実力をつけたのだ。
魔法では誰にも適わないが、竜牙は剣の技術なら文句なしだった。
むしろ魔法以外は竜牙の実力は平均より高いといえる。
だがそんなことは彼らにとっては関係ない。
「こらッ!止めないかお前たちッ!!」
そんなマモリ先生の注意もまるで無視。
あまつさえそれを消し去るように、彼らは更に囃し立てる。
それほど竜牙はこの学校で『異端』
生徒だけではなく、時々先生からも忌み嫌われるような存在なのだ。
そんな環境でも竜牙は一切屈しない。
心に掲げた『勇者』になるという夢があるから……
それに何より──
「竜牙君……!」
「心配すんなランド……あんな名前も知らない奴らに負けるような俺様じゃねーよ!」
ランドが心配しながら振り返ってきたが、心配ないと竜牙は伝える。
──それに心配してくれる友達がいる。
(独りだったらもしかしたら挫けてたかもな……)
竜牙は自分が実は内面的にはそう大してランドと変わらない事に自嘲する。
「うん……でも、竜牙君……」
曖昧に頷くランドの顔色が悪い。
今の自嘲に気がついてまた心配してくれたのだろう……悪いことをした。
そう思っていたがどうやら違うらしい。
「……クラスメイトの名前……覚えてないの……?もう1年……「気にしたら負けだぞランドッ!!」
竜牙は慌ててランドの言葉を遮った。
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